家族がいつでも一緒にいられる幸せ

ブロッコリーが始まり夜九時過ぎまで仕事に追われる季節になってしまいました。

予定では忙しくなるのはもう少し先でしたが、植物たちが僕らの予定に合わせてくれるはずもなく、何年やってもその年の気候の変化に合わせて植物たちは成長を早めたり、ゆっくりになったりと、僕らを振り回します。

大野村農園では農協さんに野菜を出すのはブロッコリーだけなんですが、この農協出しのブロッコリーが一番大変です。

今年は特に研修生やアルバイトの人たちの応募が少ない冬になってしまい、家族総出で朝から晩まで農作業に追われています。

それでもこの忙しさを感じてか子供たちが自分から「手伝いたい」と申し出てくれて、自分たちで出来る仕事を一生懸命こなしてくれます。

ブロッコリーをダンボールに詰め終わった夜九時に、今から農協に出荷に行くと私が言うと、息子は「一緒に行く」と言ってくれます。

片道15分の農協までの道のりを、街灯の少ない田舎の夜道に一人で車を走らせるより、横に息子が乗ってくれているだけで気持ちが全然違います。

農協に着いてからも誰も出荷などしていない出荷場で、お父さんがブロッコリーの箱をパレットに下ろし、息子が道具を使いパレットを引っ張り保冷庫にしまうという一連の作業をしてくれました。

夜10時近くなった帰りの車の中、助手席でウトウトしだした息子を横目に『ありがとう』という思いと、『明日も頑張ろう』という思いがこみ上げてきます。

そういえば僕自身の小さい頃、じいちゃんもばあちゃんもカイコをやっていて、その頃も夜でも一家総出でやっていたなと思い出しました。

大変ではあるけれど、あの頃も今も一番の教育はこんな体験であって、一番の思い出もこんな体験になるのかなと感じていて、農家が他の職業に誇れる一番のことは、こうして家族がいつでも一緒なんだという事なんじゃないかと改めて思っています。

4歳の息子も2歳の娘も、わが家の家宝です。

(2017.11.12)

Writer

福島県相馬市

菊地将兵

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