焼き芋から学んだこと。届けるだけじゃなく、食卓を想像するセンスも届けたい。

焼き芋で激ウマのサツマイモ、紅はるかを売ってます。

焼き芋って実は難易度高い調理方法なんだなってことに気付きました。そして、美味いものは手軽には手に入らないということも。

竹林畑の食卓、というか居間には薪ストーブがあります。11月に入ればほぼ毎日家の中に火があるわけで、焼き芋はその上に置いておけばできます。天板に芋を並べて、ボールを蓋代わりに被せると軽く蒸し焼き状になります。
昨年までは借り家だったので、アルミホイルに包んで石油ストーブの上でした。作業場にもロケットストーブあったので、その熱で焼いてました。何かのついでに焚き火で焼いてみたりもします。
いずれにせよ、焼き芋のための「火」には困りません。

だけど、都会では焚き火や薪ストーブは無いだろうし、集合住宅だと石油ストーブもNGですよね。
東京暮らしの頃、焼き芋をした記憶ないなあ・・・焼き芋屋さんかスーパーで買ってましたね。(というか惣菜屋さんだったので、売ってました、解凍したやつを)

オーブン付きの電子レンジがあったとしても、1時間半〜2時間もかかります。
レシピサイトを調べたり、一般家庭にある器具で試してみましたが、はじめに書いた結論に至りました。ウマイ話はないんです!
あぁでも、この美味さを伝えたい!来年は焼いたものを冷凍とかで販売できないか悩んでおります。

販売開始から一ヶ月、もんもんと悩んでいますが、諦めと吹っ切れの結論。
今日の本題は、食べるという技術についてです。

食事の材料の生産者として、野菜という素材のレベルを最大限上げて提供したいと思っています。
だけど、料理するのはあくまでお客様です。ちょっと味見してみて、もしくは野菜を見て触って「どんな料理が食べたい」と判断する。そして、それを実行できる技術がないと美味しい食事はできません。

たかが焼き芋ですが、好みの焼き加減、水分の状態などは好みが分かれると思います。芋のサイズなどの状態を見ながら、手持ちの設備のスペックにも左右されながら自分好みの焼き加減に仕上げるのは簡単ではありません。
難易度の問題ではなく、どういう状態を自分が求めてるのか知ってるか、という問題です。
うちでもシーズン初めは、去年の感覚を思い出しつつ何度も試します。食べてみたら、家族の好みが去年と変わってたり。

それぞれの素材を自分に合った食べ方ができるという技術と料理が上手い事とは違うと思います。
どんなものが食べたいのかというこちら側の目的がなければ、自分にとってベストな食べものにはならないんではないでしょうか?

竹林畑はお客さんに対して、素材に出会ったときに食卓が想像できるセンスみたいなものを求めていることに気付きました。
オススメの食べ方を聞かれると、あまり答えたくない時があります。私はあなたではないから、あなたが何を食べたいのかわからないんです。
販売者として良くないなーとは思うんですが・・・

うちの母ちゃんは農家になって、そうとうな経験を積んできました。シーズン中はずーっと同じ野菜が取れ続けるわけで、実験には最高の環境なのです。
好みの調味料を見つけたり、あらゆる調理方法と味付けの組み合わせを試したりしているうちに、その日の気分に合った方法を選び出すのが上手くなったと思います。
もちろん料理の基本的な技術も身につけてきただろうし、そうとうな努力の結果だと思います。結果、うちの食卓は豪華ではないですが、毎日豊かで楽しいです。

ただ野菜をお届けするだけでなく、そんなセンスや技術を磨くお手伝いができないか?来年はもう少しお客様に寄り添ったことができないか探ろうと思います。

(2016.12.14)

Writer

大分県由布市

竹林諭一

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