やっぱり自然には勝てない、のか??

地震による影響は畑にはなかったけど、昨晩から今日にかけての春の嵐で被害が出てしまいました。

帰宅してちょっと一息いれた後、強風が気になって畑の様子を見に行ったら、植えたばかりのズッキーニの畝を覆っているビニールのトンネルがぶっ飛んでた。今年のトンネルはけっこう上手く張れたのだけど、なんとビニールが途中でちぎれるほどの豪快な崩壊っぷり。

厚めのポリエチレン製のビニールで、よほどの力じゃないとちぎれることはないはず。鉄の杭に固定した両端から風に流され、畑の周囲の電柵に絡んでしまってました。

今日は強風がすごすぎたのでとりあえず応急的な片付け。替えの資材は今さら間に合わないので、今年はもう撤去です。

不幸中の幸いで、来週からは高温情報が出ており、保温はそれほど必要なくオープンにすることになりそう。トンネルが無いことに関してはそれほど影響なさそうです。

風に煽られて少し傷んだかな。まぁ大丈夫なレベルです。

自然の力には勝てない。

また出てきましたね、曲者キーワード「自然」。

 

ほんと勝てるわけないです。台風も地震も春の嵐も季節外れの天候も、こちらにはコントロールする術はないです。勝ち負け決めたいなら、圧敗。

だけど、勝負してるわけじゃないんだよね。

こちらが挑んでいる挑戦とは自然への「勝利」ではなく自然と「折り合いをつける」ことだと思います。

有機農業の野菜とか自然への態度が、折り合いをつけることのできる立ち位置を探しているようで好きです。無農薬だからとか、健康な野菜だからとかではなく、まさにそういう態度が心地よいからこの方法でやってます。

「害虫」と戦う方法の一つが農薬だと思います。「悪」として設定した「害虫」を排除する、戦うために農薬を撒くわけです。敵がたくさん押し寄してくれ武器の量も種類もたくさん必要です。

きれいな野菜を一年中安定して手に入れるためには、そういう方法もあるわけです。(それが良いとか悪いって話ではありません。)

無農薬でも、害虫を根性で一匹一匹捕まえる方法を取ってる人は今のところ見たことないです。牛乳とか木酢酢とかいろいろ虫に「効く」らしい農薬以外の資材 もあるけど、「それだけで虫が防げれば農薬いらない」ってのは慣行農家さんと同意見です。(それが良いとか悪いって話ではありません。)

たいていの有機農家は多品目栽培と言って、同時にたくさんの品目の野菜を作っています。単一品目の農家さんもいますが、竹林畑も多品目です。多い方は100種類もあるらしいので、うちは単一と多品目の中間くらいだと思います。

多品目によるリスク分散なんて言いますが、虫に食べられてしまう品目もあれば、うまく行く品目もある。全体でトントンだったら、いいんじゃね?的な考え方です。

うちはペーペー農家なので、まだそうやって失敗する(害虫と出会ってしまう)品目もあります。そんな品目は、次シーズンは時期を変えたり、何かしらの方法 を変えたりして試します。どうしてもうまくいく方法の見つからない品目はそのうち諦めます。作らなきゃいいわけです。

害虫の排除ではなく、害虫を避ける道を探すという方法で折り合いを付けるのです。

自然との付き合いの中で、技術でも精神面でも、人はいろいろな折り合いの付け方を身につけてきたはずです。自然に近い場所で毎日を過ごす農家にとって、自然への敗北は日常なんです。

すごく抽象的な話になってしまったけど、何かのヒントになればと思います。

(2016.4.17)

Writer

大分県由布市

竹林諭一

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