いろいろ悩みましたが、農薬を使うことに決めました(No.2)

今年の畑の状況に関しては、先の投稿で父ちゃんが発表していた通りなので省きますが、今回のBT剤の使用に関して母ちゃん目線からも一言。
もちろん、くどい言い訳かもしれません。それでも1事言いたいのです。BT剤は有機JAS方でも使用できる農薬である、枯草菌を利用した生物農薬で安全性が高いなどと言われていますが、それは私達にとって免罪符でしか無く、今でもBT剤の使用に関して使わないで済むのなら使いたくないというのが心情です。

ですが、私たちは専業農家です。有機農業という方法を使って生計を立てています。(実際はまだ全然成り立っていません)全滅したら、「あーぁ、出来なかったや」で終われないのです。去年の今頃は10月の出荷が始まっていたのに、今年は10月中旬を過ぎようとしているのにいっこうに出荷出来ない状態でいます。すみません、プロであると言いながらBT剤についてはフランス人ウーファーさんに聞くまで知りませんでした。このまま、自然任せに任せるしかないと思っていましたし、いくらかの野菜は残ると思っていました。

でも、それでは生活が成り立たないので外にでも働きにいこうかと考えた矢先のことです。たぶん、BT剤を散布するにはもう遅いかもしれません。使わないで生き残った野菜たちを売ったほうが良かったのかもしれません。それでも、座して全滅を待つよりもとBT剤の散布に踏み切りました。

そもそも、農薬を使う農業に関して悪いとか、良いとかいう判断ではなく、自分たちが農薬を散布して吸い込むことで健康が害されることが嫌だったので、使わないで済むうえに美味しくできる有機農業を選択しました。今回のBT剤は完全に書いて有ることを鵜呑するわけではありませんが、おそらく自分たちが使用しても健康への害はそこまで無かろうという判断です。そして、散布しても圃場に子供も入っても大丈夫だろうと判断しています。(さすがに散布直後には入れませんが)

私たちは常に情報を公開します。有機JASをとっていても農薬を使っている=だから安全じゃないみたいな記事を見かけますが、誰かを特定しているわけでも、使用しているものがどんなものかも説明していないそんな記事を信じるよりも、自分で判断をしてほしいのです。食べ物に関して、どうやって作られているのか、どうやって作られれば自分が納得して食べることができるのか、そんなことを考えてみるのもいいのではないのでしょうか?安心だとか、安全だとか、だいたい何をもっての安全なのか?虫がいたら危険と思う人もいるはずです。今、畑にはゴロゴロ転がっています。今年の野菜の不作は様々な要因で各地で起こっています。食べものがなくなって飢えることがないとは思いますが、スーパーの野菜の値段を見て買うのをためらわれていませんか?今の時代、野菜を食べなくとも食べものはいっぱいあります。

でも、少し想像してほしいのです。なんでこんなに野菜の値段が高くなっているのか?「野菜高いわね−」って毎年何処かで言ってませんか?毎年何処かである異常気象、不作でやめる農家が出れば、作物の量は減ります。そんなこと続いたらもっと国産の野菜の値段は高くなって、本当に食べられない時代も来るかもしれません。(極端な話ですが)「高い」というだけで終わらずに少しだけでもいいので考えてみてください。

そんなわけで、竹林畑の今年は農薬の使用に踏み切ってしまいました。買って頂いている皆さま、もちろんこの記事を読んで買うのをやめていただいても構いません。BT剤とは言え農薬の散布に踏み切った時点でそれは想定の範囲です。それでも農業を続けていく上では仕方のない判断だと思っています。
これを機に野菜に関心を持って頂けたらそれはそれでいいのではないかと思っています。どうかご自身で野菜について考えることもやめないでいただきたいと思います。そして、もし興味があるなら畑を見に来てください。

自然のチカラで活動を停止する虫もいます。
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散布してもこのぐらいは元気です。
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(2016.10.18)

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(編集部注)
本文章は大分県由布市の農家、竹林諭一さんの奥さんである千尋さんの記事です。
諭一さんの記事『いろいろ悩みましたが、農薬を使うことに決めました(No.1)』の追記として書かれております。NO.1を読まれていない方はこちらからどうぞ。

『いろいろ悩みましたが、農薬を使うことに決めました(No.1)』

いろいろ悩みましたが、農薬を使うことに決めました(No.1)

Writer

大分県由布市

竹林諭一

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