こりゃ美味しいわけだ。絶品みかんの収穫現場で美味しさの理由を探ってきたよ

みなさんこんにちは。みかんの食べ比べが趣味のライター、尾形です。この冬、何種類ものみかんを試すうちに、とびきりおいしいみかんと出会いました。

これ、すんごくおいしいです。食べてみてください

甘いし内皮が薄くて、缶詰のみかんみたい

どうやら他の食べ手さんからも大人気のようですね。なぜこんなにおいしいみかんができるのか……畑に行って調べてきてもいいですか

行ってらっしゃい

目次

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ポケマル専用のみかん畑があった

というわけで、本当にやってきました。


あまりのおいしさで私をここへ連れて来たのは、こちらのみかん。

※記事公開時はシーズン終了につき販売されていません。大谷英士朗さんの最新出品情報はこの記事の最後にあります。

生産者は、和歌山県湯浅町「こたつファーム」の大谷英士朗さんです。


「農家が選ぶ」「完熟」というキーワードに惹かれて購入しましたが、私たち素人が選ぶのとは何が違うのか、完熟みかんとはいったいなんなのか……考え始めると謎がどんどん増えていきました。

その謎がこのみかん畑で解けるはず。期待に胸を高鳴らせる筆者は、早速みかん収穫に同行させてもらえることに。

ようこそ僕のポケマル専用畑

ポケマル専用……!?

はい、父親から譲り受けて、今シーズンから自分ひとりで管理しています

ひとりで……英士朗さん、失礼ですが、ご年齢は

1997年生まれの22歳です

若くして独り立ちとは……すごい

2019年の春に研修先の果樹試験場から帰ってきて、初めて自分ひとりで管理するようになった畑なんです。とても思い入れがあるので、ぜひともポケマルでお客さんに直接販売したかったんです。だから「ポケマル専用」にしちゃいました


"絶妙な酸味"を求め
食べて食べて選び抜く

ポケマル専用畑につくや否や、英士朗さんはみかんを木からもいで食べ始めました。


尾形さんもどうぞ

えっ、いいんですか?

はい、食べて感想を聞かせてください

じゃあ、遠慮なく……お、おいしい! 英士朗さんのみかんは、ひとつで満足できるコクがありますよね

口に入れてから飲み込むまで、絶妙な加減の酸味をいかに残すかにこだわっています

甘いだけでなく、適度な酸味があることで味に深みがでるんですね!

ああ、これは微妙……悔しい!!

そんなに食べたら、出荷するみかんがなくなってしまうのでは……大丈夫ですか?

ええ、ポケマル専用畑では普段からこうして実際に食べながら収穫しているんですよ。自分でベストの状態だと思えたものだけをみなさんにお届けしたいので

そろそろ下の方もいいタイミングのはずなんですが……

「下の方」ってなんでしょうか?

みかんは木の上のほうから熟していくんです。だから、まずは上の方から収穫して、下の方は味がのってくるまで木に成らせたままにしておくんですよ

なるほど、さっきから一本一本の木を味見して回っているのは完熟具合を確認するためで、木の上の方にみかんが無いのは、先に熟したので既に収穫が終わっているということだったのですね

ところで、英士朗さんはみかんを食べてどういうところをチェックしているのですか?

ん〜、いろいろありますが、こんな感じですかね

英士朗さんのみかんチェックポイント
  • 外見:ヘタが黄色くなっているもの
  • 触感:ハリがありつつ、しなやかなもの
  • 味わい:舌の付け根で感じる旨みと鼻から抜ける風味
  • 舌触り:じょうのう(内皮)の硬さ
  • 後味:水っぽくなく、くどくない甘さと絶妙な酸味

左のようにヘタが黄色くなっているのは完熟の目安のひとつ

ちょっとの味見で、いろんな要素を確認しているんですね


選ばれしみかんを更に選果
味覚の後は視覚で選ぶ

味見をしながらの収穫作業が終わり畑を後にして選果場に入ると、すでに箱詰めされたみかんが並んでいました。


収穫し終えたみかんはここで箱詰めされて、みなさんの元に届くんですね

はい、でも先ほど採ったみかんをそのまま箱詰めできるわけではなく、選果という作業が待っています

なんと、先ほどあんなに味見をしながら厳選して収穫したみかんを、英士朗さんはまだ選ぶのだそうです。


まずは一次選果。みかんの表面をざっと見て、傷みがないかを確認します。

次に、穴の空いた選果機に通して、みかんを大きさ別に分けます。

コロコロして可愛い……

本当はコロコロさせたくないんですけどね。みかんは衝撃を与えると味が変わってしまうので……。最後だけはこれを使います

衝撃を最低限に抑えるために、サイズ分け後のみかんを集めるコンテナには必ず緩衝材を敷くようにしています

過保護なくらいがちょうどいいんですね.。これならみかんも安心してコンテナに飛び込めそうです


最後は二次選果。サイズ分けされたみかんを最終チェックします。

………………………………

ん、英士朗さん?? そんなにじーっと見つめて、どうしたんですか?

こういうちょっとした傷は、よく見ないと見落としがちなので……

鳥がつついた跡なのか、小さな穴が

わあ、本当だ。かなり小さい……

小さい傷でも腐りの原因になります。これがお客さんに届いちゃったら嫌なのでつい無言でやってしまいまして……すみません

英士朗さんはみかんが恥ずかしがるのではないかと思うくらい、一つひとつとじっくり向き合っていました。じっくりすぎてみかんが流れてくるスピードに負け、30秒に一回は選果機を停止させなければならないほど。

ああ、このみかんおいしそうじゃないですか? このしなやかな果皮、形。色もいいですね

優しく丁寧にみかんを愛でる


「農家が選ぶみかん」とは、傷みのない、おいしいと自信のあるものだけを届けようという気持ちに溢れる英士朗さんが、手も、舌も、目も使って、ようやく箱詰めに至るみかんのことだったのですね。


「こたつ」の団らんをポケマルで届けたい


それにしても、一工程にかなりの時間をかけていましたね。大変じゃないですか?

お客さんのことを考えたら自然とそうなっちゃうんですよね。親には「時間かけすぎだ」って怒られるんですけど、ポケマルのみかんにはこだわりたいんです

ポケマル専用畑といい、ポケマルのための農園名といい……、英士朗さん、どうしてそんなにポケマル愛が強いのですか?

ポケマルで届くごちそうさま投稿が、僕がつくりあげたい世界そのものだからです。たとえば、最近はこんな投稿をいただきまして……

投稿引用元:大谷英士朗さんのコミュニティ

英士朗さんのみかんから、おいしさの幸せが派生していますね。

休憩中にもポケマルコミュニティをチェックしていました

そういえば、ご家族とは一緒に作業されないんですか?

親の畑を手伝うことはありますが、僕自身やりたいことがあるので、独立しました

やりたいこととは?

それもポケマルなんですけど……

ポケマルやりたくて独立したってことですか?

はい。「こたつファーム」という屋号も、ポケマルのためにつくったようなものなんです。「こたつ」のある空間には自然と人が集まって来て、団らんが生まれるじゃないですか。そんな"和"を、ポケマルを通じてお届けしたいと思って


「"和"を届けたい」——その言葉を聞いて、英士朗さんが箱を閉じる前に行っていた工夫を思い出しました。

「畑を感じたい」というお客さんからの声をうけ、みかんと共に葉っぱのおまけを入れたり、手書きメッセージを書いたり、一人ひとりのお客さんと向き合う姿勢。

おいしいみかんだけでなく、ちょっとしたコミュニケーションをとることでも、"和"を届けているのだと思いました。


一緒に英士朗さんの「こたつ」に入りましょう


英士朗さんは何をしている時が一番幸せですか?

うーん、誰かと一緒の時間・空間を共有しているときですかね

おお、その心は?

「おいしいものを食べているとき」と言おうかと思いましたが、一人で食べていたら僕は幸せに感じないと思うんです。「おいしさを共有できる相手がいてこそ幸せに感じる」のかなって


英士朗さんにとって「こたつ」は時間・空間を共有し、幸せが生まれる場。みかんを通じて心温まる物語が生まれ、それを共有できるポケマルは、こたつそのものなのかもしれません。

だからこそ英士朗さんは、ポケマルという名のこたつに入り、人との繋がりが生まれるようなおいしいみかんづくりに励んでいるのでしょう。

農家として技術面でのおいしさを生むだけでなく、一人の人間として気持ちの面でのおいしさがそこにはあります。

みかん畑からのステキな景色

英士朗さんのみかんを手に取れば、そこから和やかな物語が紡ぎ出され、こたつのような温かさに包まれます。みなさんも、英士朗さんの「こたつ」に入りませんか?


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取材・文・写真=尾形希莉子、編集=中川葵

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