【降りそそぐ追想の淡雪】
今日が今シーズン最後の漁となりました。
最後までマイカ大漁が続く異例の年となりました。
と、同時に20年連れ添った最愛の伴侶との別れとなります。
20年前、妻と出会う前から私の良き伴侶として歳を重ねて来た、現在の船。いい時も悪い時も時に寄り添い、時に励ましてくれました。
最後は毎日どこかが具合悪く、いつもどこかしらが悲鳴を上げていました。今日も突然に鳴り出す警報に申し訳なさを覚えました。
下手くそな操縦の船長。どこが悪いのか見つけられない機関長。気が利かず何度も船を傷つけた船員。
もう3年前からは日々満身創痍でした。
肋材が完全に折れる(肋骨骨折)
油圧力低下(血液血栓)
ドラムモーター破損(50肩)
リール綱寄せ破損(歯が抜ける)
他オイル漏れやエンジン不良は茶飯事で、「痛い、痛い」と日々言いながらも体に鞭を打って私達を今日まで運んでくれました。
そんな中、今日私達は一つの記録を打ち立てました。6月単独での水揚げ1000万円。
秋田県内では今までにない記録のようです。
最後の最後にこの船と共に最高の成績を収める事が出来ました。本当に感謝してもしきれません。
玄辰但馬丸。20年間こんな私達を毎日運んでくれて本当に有り難う。どうかゆっくりと休んで下さい。貰い手がいれば嬉しいけど、私としてはもう休ませてあげたいかな。
貴女と過ごした日々を決して忘れません。
貴女が解体される時はそばにいて、最後まで見届けたいと思います。
今まで本当にありがとう。