長野県上伊那郡辰野町
飯澤清成 | やまあいの地
自然栽培米
江戸時代の農の知恵に学び、里山の未来をつくる。
「やまあいの地」の飯澤清成です。
長野県辰野町横川。
中央アルプスのふもとにある、小さな里山でお米を育てています。
私が大切にしているのは、
「自然に寄り添い、自然と一緒に歩いていく農業。」
そして、
「先人から受け継いだ知恵を、次の世代へつないでいくこと。」
です。
🌾 小里という場所
私たちの田んぼがあるのは、中央アルプスの山間部にある辰野町横川。
ホタルが舞い、樹齢数百年の木々が生い茂る国有林から、清らかな水が流れてきます。
夏は日中33℃ほどまで気温が上がり、朝方には18℃ほどまで下がることもある、中山間地ならではの大きな寒暖差。
先祖代々受け継がれてきた田んぼと、この土地の自然の恵みをいただきながら、お米を育てています。
🌱 自然栽培に取り組む理由
私は農家に生まれ、幼いころから両親と一緒に農作業をしていました。
18歳で上京し、しばらく農業から離れていましたが、2011年の東日本大震災をきっかけに、食を支える農業の大切さを改めて感じました。
その後、両親の介護もあり実家へ戻ることになりました。
そこで目にしたのは、後継者が少なく、高齢者中心になった集落の姿でした。
「このままでは、この地域を次の世代につなげられない。」
そんな危機感から、農業を通じた地域づくりへの挑戦が始まりました。
農地を生かす方法を探して農業を学ぶ中で、自然栽培と出会いました。
農薬や化学肥料に頼るのではなく、自然の力を生かしながら農業を続けていく。
そこに、これからの農業と里山の可能性を感じました。
2023年にはJAはくいで自然栽培を深く学び、「自然栽培地域プランナー」の認定をいただきました。
📖 『農業全書』に学ぶ米づくり
私が自然栽培を考える上で参考にしているのが、江戸時代にまとめられた農書『農業全書』です。
そこには、先人たちが長い経験の中で培ってきた農の知恵が記されています。
昔の農法をそのまま再現するのではありません。
先人から受け継いだ知恵を、今の田んぼに生かす。
土、水、気候、生きもの。
田んぼにある自然の営みをよく観察し、その力を大切にする。
それが、私が取り組んでいる自然栽培です。
栽培期間中、農薬・化学肥料を使用せず、お米を育てています。
🌾 毎日、田んぼを見る
自然栽培だからといって、何もしないわけではありません。
田んぼにはできるだけ足を運びます。
天気、水温、地温、稲の様子。
その年の気候や田んぼの変化を見ながら、一つひとつ考え、試行錯誤しています。
自然は毎年違います。
だからこそ、前年と同じことを繰り返すのではなく、その年の田んぼと向き合う。
その積み重ねが、私の米づくりです。
🌿 人にも自然にも、より良い農業を
私は、農業は人の食を支えるだけでなく、自然や地域の未来にも関わる仕事だと考えています。
だからこそ、農薬や化学肥料に頼らず、土、水、生きものなど、田んぼ本来の力を大切にする自然栽培に取り組んでいます。
大切なのは、「何を使わないか」だけではありません。
土を育て、
水を大切にし、
生きものが暮らせる環境を守り、
自然からいただいた恵みを、また次の実りへつないでいく。
そんな農業を目指しています。
田んぼに生きものが戻り、
里山の自然が豊かになり、
そこに暮らす人も元気になる。
自然を守るだけでなく、
今より少しでも豊かな状態で次の世代へ渡していく。
そんな循環を、この地域の仲間たちと一緒につくっていきたいと思っています。
「人のための農業」だけでもなく、
「自然のための農業」だけでもない。
人と自然がともに豊かになっていく農業。
それが、私がこれから目指していきたい農業の姿です。
♻️ 一つの実りを、次の実りへ
田んぼから生まれたものを、できるだけ田んぼへ戻していく。
米ぬかは発酵させて田んぼへ。
もみ殻は燻炭にして田んぼへ。
稲わらは秋に田んぼへ戻し、春までに数回土と撹拌しながら、発酵を促します。
一つの実りをいただいて終わりではなく、その恵みを次の実りへつないでいく。
そんな循環型の農業を大切にしています。
🍚 子どもから大人まで、「食べること」を考える
食育というと、子どもたちへの教育と思われがちですが、私は大人にとっても大切なことだと考えています。
毎日、何気なく口にしているもの。
それが、どこで、誰によって、どのように作られているのか。
そして、自分や家族が口にするものを、どう選んでいくのか。
便利になった今だからこそ、一度立ち止まって「食べること」を考えてみる。
そんな機会を、農業や里山での暮らしを通じて、つくっていきたいと思っています。
子どもたちには、田んぼに触れ、食べものが生まれる場所を知ってもらう。
大人には、毎日の食を見つめ直すきっかけを。
そして高齢者には、これまでの暮らしの中で培ってきた食や農の知恵を、もう一度地域で生かしてもらう。
便利さだけを追い求めるのではなく、
「自分たちの手でできること」
「昔から受け継いできた知恵」
「自然とともに暮らすこと」
にも目を向ける。
そんな食と暮らしの学びを、世代を超えてつないでいきたいと考えています。
これは私一人の取り組みではありません。
この里山で暮らす仲間たちと一緒に、
食べること、育てること、暮らすことを見つめ直しながら、次の世代へつないでいく。
そんな地域づくりにも取り組んでいます。
🍚 小里米について
私が育てているお米を「小里米」と名付けました。
小里の自然と、先人から受け継いだ農の知恵。
そして、そこに今を生きる私たちの手を重ねて、一年一年、お米を育てています。
小里米には、それぞれのお米に異なる個性があります。
「穂のあかり」は、毎日の食卓に寄り添うお米。
「夢あかり」は、未来へつながる豊かな実りへの願いを込めたお米。
「雅米」は、自然の恵みに人の手を重ね、手塩にかけて育てた特別な一品。
「亀の尾」は、昔から受け継がれてきた在来種。
「ミルキークイーン」は、もっちりとした食感を楽しんでいただきたいお米。
品種や個性は違っても、根っこにある米づくりは同じです。
自然の恵みに感謝し、
先人の知恵を受け継ぎ、
次の世代へつないでいく。
それが「小里米」です。
🤝 お米を通じて、人と里山をつなぐ
農業は、お米を作るだけの仕事ではないと思っています。
田んぼに来てもらい、
土に触れ、
稲を見て、
自然の恵みを感じてもらう。
そんな農業体験も行っています。
県内外から訪れる皆さんと一緒に、五感で里山を楽しみながら、
「また帰ってきたい。」
と思ってもらえるような、第二のふるさとづくりにも取り組んでいます。
お米をきっかけに、人と里山がつながっていく。
それも私が目指している地域づくりの一つです。
🏆 これまでの取り組み
✓ JAはくい「自然栽培地域プランナー」認定生産者
✓ 栽培期間中、農薬・化学肥料不使用の自然栽培
✓ 農薬残留検査を実施
✓ 長野県原産地呼称管理制度「認定米」
✓ 米・食味分析鑑定コンクール国際大会 認定
✓ JA農産物品評会「金賞」受賞
✓ 株式会社つくば分析センター/旨米-1グランプリ 全国第3位
🌾 最後に
農家として、おいしいお米を作る。
それはもちろん大切です。
でも私が目指しているのは、それだけではありません。
先祖から受け継いだ田んぼを守り、
自然と共にある農業を続け、
人が集まり、
子どもたちが帰ってこられる。
そして、子どもから大人まで、
「食べること」を自分で考えられる。
そんな里山を、次の世代へ残していきたい。
天より授かり、地に育まれ、
瑞穂の心を受け継ぐ小さなやまあいの里から、百年先の未来へ。
「毎日の食卓に、小里の実りを。」
そんな気持ちで、今日も田んぼに立っています。
「やまあいの地」
飯澤清成
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