阿部農場は北海道札幌市に隣接している北広島市にある、家族経営の小さな農場です。家族は私と妻と娘と母の4名で、数名のパートさんと一緒に農場を運営しています。 立地は札幌という大都市近郊ですが、農場周辺は豊かな自然の残る農村地域です。未だに上下水道が引かれておらず、少々不便ですが井戸水で生活しています。でも、井戸水の温度は年間を通じて変化が少なく、夏は冷たく冬は温かくて、とても美味しい水なのです。このような地下水が畑に豊かな実りをもたらしてくれていると思っています。 阿部農場は元々は札幌市内で酪農をしており、その頃は阿部牧場と言っていました。そして、高度成長期における札幌の市街化により、止むを得ず祖父の代に北広島に移転し、父の代で酪農から畑作に転換し、私の代で屋号も阿部農場に改め現在に至ります。 以下、阿部農場のこだわりについてご紹介させていただきます。 《土作りへのこだわり》 酪農家時代から牛糞で堆肥を作って畑に還元してきましたが、酪農を廃業した今も堆肥作りは続けています。材料は牛糞の代わりに、馬糞（札幌市内の乗馬クラブより搬入）や鶏糞（北広島市内の採卵場より搬入）や乾燥おでい（アクア・バイオマスセンターより搬入）や作物残渣などを混合し、2年間発酵させて堆肥にして、毎年春に畑に還元しています。化学肥料も併用してはいますが、美味しい農作物の秘訣はこの豊富な自家製堆肥による土作りだと思っています。 《販売へのこだわり》 農場で栽培しているのは野菜が20～30種類で果樹が3種類ですが、少量多品種栽培ということもあり農協出荷は行っていません。栽培した作物は観光農園として畑で食べていただく他、大部分を農場の直売店や近郊の直売店に毎日持ち込んでいます。なるべく新鮮な作物をなるべく消費者に近いところで販売したいという方針で頑張っています。 《鮮度へのこだわり》 芋類（ジャガイモ、ヤーコンなど）やカボチャなどの保存のきく野菜を除き、朝採りした野菜をその日に売るということを徹底しています。基本的に生鮮野菜については売れ残りを翌日に再販するということがないため、トマトなどは完熟出荷が可能になります。そのため、お客様にもなるべくその日のうちに食べていただくことをお勧めしています。 《安全性へのこだわり》 果樹とアブラナ科の野菜（キャベツ、ブロッコリー、白菜）とハウス野菜（トマト、キュウリ）以外は、基本的に農薬を使用していません。そのため、とうきびは収穫後に1本1本先端を開いて、害虫の有無を確認してから出荷しています。また、葉付枝豆も虫食い部分を手作業で取り除いて袋詰めしています。農薬が安全でないという考えではありませんが、多少の手間をかけることで使わずに済むのであればその方がいいという方針でして、少量多品種栽培だからできることだと思っています。 《消費者の皆様との交流へのこだわり》 消費者の皆様と直接交流できる機会として、最近は観光農園にも力を入れています。春はアスパラ狩り、夏はイチゴ狩りとブルーベリー狩り、秋はとうきび狩りなどを行っており、お客様から直に食べたばかりの作物の感想をお聞かせいただけることが、農業を続ける上での大きな励みになっています。 北海道へいらっしゃる機会があれば、ぜひ阿部農場にお立ち寄りいただければ幸いです。