山内郁美 | 四季彩農園

愛媛県西条市の大きく広い空に包まれた場所で、太陽をいっぱいに浴びて育つ野菜と果物の農園です。 スナップエンドウ、ブロッコリー、里芋、ブルーベリー、ぶどうなど野菜と果物を育てています。作物によりますが農薬・化学肥料不使用で栽培し、地球にも私たちの身体にも負担をかけないようにしています。 いろんな種類を作るのは大変でしょう？と聞かれることが多いですが、一つ一つが季節を感じさせてくれ、鮮やかな色が元気をくれます。元気いっぱいの野菜と果物が皆さんの食卓の彩りとなってくれるとうれしいです。 【一年中いても見飽きない風景があります】 小学生の頃からこの広い農園で走り回って遊んでいました。 両親がはじめた農園は、始めは柿の木だけの畑でしたが、一から測量をし、新たに苗を植え、夜遅くまで世話をする姿を見てきました。 季節ごとにたくさんのお客さんが足を運んでくれる農園になる頃には私も手伝いをするようになり、遊びにきているのか手伝いに来ているのか、その境目がわからないほどでしたが、自分にとって農園はずっと身近な存在でした。 春には桜が一斉に咲いて、新緑の柿の葉っぱも紅葉していくブルーベリーの樹も、ここには一年中いても見飽きない風景があります。ゴールデンウィークの頃に甘い香りの花を咲かせてくれるオガタマと、細長い葉をしたシナモンの木が特にお気に入りです。自然を満喫でき、自分が育った環境であり、両親の想いが詰まった場所で働きたいと思い、大学卒業後就農しました。 ─　─　─　─　─ ◆道後温泉から車で40分の立地◆ 道後温泉から車で40分くらいの場所にある農園は、山と山の間に川が流れて出来た土地、扇状地にあります。 山から運ばれた石が何層も重なってできた土壌は水はけがよく、また日当たりもいい場所なので野菜は色濃く、ぶどうもブルーベリーも大きく瑞々しく育ちます。遠くの山も海も見え、ここで農作業をしていると空は近くて青いし、緑はより濃くきれいに見える気がします。 ─　─　─　─　─ ◆マニュアル通りではないから観察が大事◆ 農作業で大事なことは「観察すること」だと思います。スケジュール通りにマニュアルがあるわけでもないですし、 自分がやりたいことをただやればいいのではなく、今、目の前の野菜と果物はどんな状態か、観察することから始まります。 しっかり見て、想像して、相手の声を聞こうと思いながら観察します。 たくさんではありませんが、様々な品目・品種を栽培しています。いつも観察していてわかるのは、本当にたくさんの個性がある！ということです。ぶどうは10品種、ブルーベリーは8品種作っていると、それぞの枝の伸ばし方や花の咲かせ方、光の受け方にもそれぞれ違った特徴が見えてきます。細かく言えば、同じブルーベリーの樹にも一株一株に個性があります。まとめて管理するよりも、一つ一つと会話するように観察して、それぞれにいいところや魅力があることを尊重して、成長を邪魔しないような環境を整えるように栽培をしています。 ─　─　─　─　─ ◆遊ぶように仕事して、仕事のように遊ぶ毎日を送る◆ ─　─　─　─　 緑に囲まれた場所で仕事ができることは私にとってとても大事なことです。 農業は毎日○時間勤務と決められることも区切ることもなく、その時に必要なことをしていくので繁忙期はすごく大変ですし、働き三昧な時期もあります。でも、そんな一日でも、1年の中の一日、人生の中のたった一日、一瞬しかないので、大変だとしても楽しくやっていきたいと思っています。 大好きな自然の中で、植物が気ままに大きくなっていくように、遊ぶように仕事して、仕事のように遊ぶ毎日を送りたいと思っています。 ─　─　─　─　─ ◆自然への感謝を忘れない◆ 私が普段大事にしておこうと心においてあることについてです。 当たり前すぎて時々忘れてしまう時がありますが、野菜も果物も、肉も魚も、突き詰めていくと生命の誕生というのはすべて自然からです。食材を生み出しているのは自然です。 このことを忘れて、夏のブルーベリーが少し上手に出来たりすると私は「やった！うまく出来るようになったんやん自分！」とすぐに調子にのってしまいますが、育ててくれているのはやっぱり自然であり時間であり、 自分の想像も届かないような大きな力があるんだと思います。 もちろんその自然の営みや植物の力をサポートする人間の働きや技術の進歩、受け継がれてきたものがあってこそです。 なので、やっぱり私はそうした自然の大きさとか流れとか先人の知恵とかに感謝せずにはいられなくて、 目の前の小さな苗にも新芽にも敬意をもって生きていきたい、仕事をしていきたいと思います。 ─　─　─　─　─