岩手県九戸郡九戸村

小井田寛周

小井田立体農業研究所

手打ちくるみ

◆「立体農業」をやっています
小井田立体農業研究所の小井田寛周です。生まれも育ちも岩手県は九戸村。
立体農業とは昭和初期、社会運動家・賀川豊彦が提唱した、家畜と果樹を農園に取り入れ、空間を立体的に使う循環型農業のことです。

我が家は家族経営の小さな農家ですが、立体農業を絶えず研究していくという意味を込め“立体農業研究所”と創始者である祖父が名づけました。
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◆農家になった経緯
幼いころから家業である農業の手伝いをさせられてきました。その時は嫌で嫌で、3人兄弟の中で一番手伝いが嫌いだったと思います。あまり家業を継ぐという意識は高くはなく、大学の経済学部を卒業し、一般企業に就職しました。

人生の目標などなにもないまま数年仕事をしてきましたが、岩手県の沿岸部釜石市に赴任中、東日本大震災が発生。自身も被災したことをきっかけに、自分の生き方を模索するようになりました。転勤族で住む場所も選べない仕事はおかしい。地元に戻って生活をしたいと考え退職し、2013年、地元九戸村に戻ってきました。

その後、村の特産品を商品開発する仕事などを経て、家業の素晴らしさ大切さに気付き、これを継承し、さらに将来にわたっても生活できるような農業にしたいと考え、2015年本格的に農家としてスタートしました。
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◆生産物・地域の紹介
岩手県の北部に位置する九戸村は朝鮮半島より渡ってきた「手打ちくるみ」の適地で、江戸時代から地域で大切に栽培されてきました。

我が家ではこの「手打ちくるみ」を植えた農園に、「乳牛」と「鶏」を放牧する立体農業に取り組んでいます。

乳牛は放牧することで、農園の草を食べてくれるため、人が行う草刈の役割をやってくれます。さらに糞がそのままくるみの肥料にもなります。

鶏も放牧することで、くるみの木の下の土の中にいる害虫を食べてくれ、害虫駆除の役割を担ってくれます。

このように、循環した環境の中で、乳牛は自然な甘さの「牛乳」を。鶏は癖のない「自然卵」を。

そして、動物たちの力を借りて、化学肥料や農薬に頼らない「手打ちくるみ」を生産しています。
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◆伝えていきたいこと・信念
我が家の農業は、昭和20年代戦争から帰ってきた祖父が、小さくてもやっていける農業を目指し、父親の反対を押し切り、畑にくるみの木を植え何十年をかけ、少しずつ今の形にしてきました。

その道のりは良い時もあれば、悪い時もあり、様々な波があったそうです。

ですが、その時も祖父、父がこだわりを持って作り続けるということは決して忘れずやってきてくれたから今こうして私の時代まで残すことができたと思います。

我が家の目指す農業は、小さい規模でも安心安全の食べ物を生産し、それを自分たちが食べ、そして外の方にも食べてもらい普通に暮らしていけるぐらいの収入をもらえればいい、儲からなくても食べていける農業です。

これからも小規模の家族経営の農業を大切にし、国が進めたがる大規模化の道とは別の道で小さくても生きていける農業を目指し頑張っていきます。
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◆今後の展望・夢
今後はよりたくさんの方に我が家のことを知ってもらいたいと思っています。

これまでは生産物は「モノ」しか売っていませんでした。しかしこれからは「モノ」と一緒に我が家の「モノガタリ」もお届けできる工夫をしていきたいと考えています。

また未だに牛乳はすべて農協出荷のため、何らかの形で独自に販売できるようになりたいです。

将来的には農場に来てくれるお客さんが来てくれるような仕組みを作り、農場の生産物を楽しみながら、農場の景色も楽しめる農場にしていくのが夢です。
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◆その他アピールポイント
動物と植物が互いの長所を生かし合い、農園を形作っているのが我が家の大きな特徴です。

くるみはスーパーで売っている物と食べ比べても、甘みやフレッシュ感が全く違います。

牛乳も放牧をした健康な牛から搾るため、独特な癖がなくさらっとしています。

卵はエサのほとんどを国産の雑穀・米を主体に与えているため、脂っぽさがないながら濃厚なコクがあります。

これらは全ての動植物が農園の中で自然のサイクルとしてつながっているからこそできることです。

ぜひ我が家の生産物を通じて、自然の恵みを感じてみてください。

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