冬の海は強い北西風の影響により激しく荒れます。大きな時化が続くと月に数日しか漁に出られないことがほとんどです。しかし、そんな日本海の荒波の中で、この時期ならではの魚が漁獲されます。県の魚ハタハタ、ダダミ(白子)が入ったマダラ等が旬を迎えます。
民謡「秋田音頭」にもうたわれ、「ハタハタなしでは正月を迎えられない」と言われるほど、県民生活に深く根差した魚。厳しい冬を迎える11月下旬から12月にかけて産卵のため大群で押し寄せる秋田の「季節ハタハタ」は、魚体が大型なのが特徴。ハタハタの魚卵「ブリコ」を味わえる12月と、産卵に向けて栄養を蓄えている10〜11月の2つの旬がある。火がすぐに通ることから「馬の息がかかれば食べられる」と言われる。
伝統魚醤「しょっつる(塩魚汁)」を使った鍋料理「しょっつる鍋」や、頭と背骨以外は全て食べられる「塩焼き」、麹に漬け込んだものを焼いて食べる「三五八(さごはち)漬け」など。また、古くから親しまれてきた「ハタハタ寿司」(飯寿し)は、秋田の食文化を語る上で欠かせない。
しょっつる鍋
塩焼き
ハタハタ寿司
名前は、体表のまだら模様から由来するなど諸説あり。水深100〜300mの岩場に生息するが、2月前後には産卵のため浅瀬に上がる。にかほ市金浦(このうら)では毎年2月4日、豊漁と海上安全を祈願する「掛魚(かけよ)まつり」が行われ、金浦山神社にマダラを奉納する。タラ汁は煮込むほど旨味が増すことから、雪道は先頭よりも後からの方が歩きやすいことにちなみ「タラ汁と雪道は後がいい」と言われる。
捨てるところがなく、身だけでなくアラや肝、白子などを具材とする「タラ汁」は秋田の郷土食。地元で「ダダミ」と呼ばれる白子は、鍋の具材のほか「湯引き」「天ぷら」にも。ほかに「昆布締め」や「真子の煮付け」なども。
タラ鍋
ダダミ
塩焼き