ねっこ農園 金子さん、中農園 中さんのこだわり

Sponsored by 徳島県(執筆:株式会社あわわ)

吉野川市は、昭和の名水百選に選定された『江川の湧水』と肥沃な土壌、比較的温暖な気候にも恵まれた農業地帯として野菜を中心に果樹や花きの産地として発展してきた。そんな吉野川市で生産品目を一つに絞って勝負する2組の生産者をピックアップする。

一組目は「家族との時間が持てる仕事がしたくて」と未経験から農業の道を選んだ『ねっこ農園』の金子さん夫婦。ねっこ農園が通年栽培する青ねぎのおいしさの秘密やこだわり、二人が考える将来のビジョンとは…。

二組目は高糖度の柑橘系果物『不知火(しらぬい)』を栽培する『中農園』の中啓司さん。先代から突然家業の農業を継ぐことになり、手探り状態ながらも栽培を続け、今では吉野川市ブランドや徳島県が認証する“とくしま安2GAP”を取得した。「とくしま安2GAP認証を目指したわけではなく、やりたい農法を進めていたら結果的に基準を満たしていた」と話す中さんが栽培する不知火のおいしさの秘密やこだわりとは…。


 

目次

 
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「大地に根を張れねっこねぎ!」
ねぎ一本で勝負する、『ねっこ農園』のこだわり


『ねっこ農園』が栽培する青ねぎはおいしい。一般的に青ねぎとは、緑の葉の部分が多い細身ねぎの総称。その濃い緑の葉と香りが特長で、鍋ものや薬味にと西日本を中心に好まれる万能食材として知られる。

栽培品種である『みやび姫』はほかの青ねぎとくらべて耐病性があり害虫被害にも強い。根張りが良く生育旺盛で肝心な食味はシャキシャキ! 優しい辛さで鮮度の保ちもよいと評判だ。

そんな品種としてのポテンシャルが高い『みやび姫』をよりおいしくするために『ねっこ農園』が行っているのが、徹底した土壌づくりと栽培管理。有機質の高い堆肥と微生物の力を借りて健康な土を作り、長めの耕うん刃で40cm以上深耕する。さらに園主自ら毎日ねぎの状態を確認し、野菜のえぐみの指標と言われる“硝酸値”を毎日測定・検食。丁寧に収穫したのちは、『ねっこ農園』が誇る、プロの“ねぎむき師”が一本一本手作業で検品、調整を行うという。すべてにおいて納得できたものだけを出荷しているから、安全・安心、おいしくないはずがない。

『ねっこ農園』を営むのは金子克浩さん、美佳さん夫婦。横浜市出身の克浩さんと徳島市出身の美佳さんは大学時代に出会った。東京での学生生活、就職を経て結婚。転勤や仕事で帰りが遅くなる日々に「もっと家族と一緒の時間を持ちたい。じゃあ、夫婦で起業すればいいじゃない!」と二人の考えはピッタリと一致! どんな仕事で起業するかを考えたときに克浩さんから「農業をしよう」という誘いがあった。お互い農業とは無関係に育ったが、その誘いになんの抵抗もなく「ワクワクした」と美佳さんは笑顔で話してくれた。

農業をすると決まれば、次は場所探し。就農フェアなどに参加し、いろいろな候補地の中から決めたのが今の吉野川市。美佳さんの故郷、徳島県だったこと、視察で訪れたときのまぶしい太陽と、温かい吉野川市の人たちに魅せられたのだという。

移住した吉野川市で二人は農業を学ぶために農業法人に就職。そこで5年間、農業の知識と経験を積み、2017年7月ついに自分たちの農園『ねっこ農園』を創業。屋号の由来は植物の“根っこ”からかと思いきや、克浩さんの学生時代のニックネームからだそうだ。

金子さん夫婦には3人の男の子がいるが、必ずしも『ねっこ農園』を継いでほしいとは思っていないという。それは自分たちの代で終わらせるということではない。二人の夢はやりたいと思ってくれた人に継承し、未来永劫『ねっこ農園』を残すこと。ただ、今回の取材で確信したことがある。金子さん夫婦のいきいきと働く姿を一番近くで見ているこの子たちが、きっとおいしいねぎを作り続けていくのだろうと。

 

Producer

 

ねっこ農園 | 金子 美佳|徳島県吉野川市

   

ねっこ農園ポケマル店長 金子美佳です。徳島県徳島市出身、徳島県吉野川市在住です。
農園の名前の由来は、夫(ねっこ農園代表 金子克浩)の学生時代からのニックネーム。大地に根を張れねっこネギ!という思いも込めて、ねっこ農園と名付けました。

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完璧な甘みと酸味のバランスを目指して
不知火一本で勝負する、『中農園』のこだわり

中農園の不知火は高糖度とそれを引立てる爽やかな酸味が特長だ。この不知火の写真を見て「デコポンみたい」と感じた人はお目が高い。デコポンは熊本果実連が所有する登録商標、すなわちブランド名で、品種は不知火なのだ。

1年のサイクルは3月に剪定、7~8月にいい実だけを残す摘果を行い、10月中旬から実が自重で落ちないように枝釣り、年末に寒さ対策に袋がけをし、2月の出荷時期を迎える。

『中農園』圃場管理のこだわりは、果樹の健全な育成を促すため、必要最低限の農薬使用にとどめること。最小限とはいえ農薬使用管理履歴の記載を徹底していて、時系列的に記録し開示できる体制を整えている。また除草剤など一切使用せず、自然農に近い草生栽培を実践している。

出荷に関しては、購入した人の期待を裏切らず、最高の状態で販売できる時期を判断するため、フルーツセレクターによる糖度・酸度の測定と、徹底した管理を行っている。『中農園』での出荷基準は糖度13度以上、酸度1.0度以下。それに満たないものは追熟し、糖度が上がるのを待って出荷しているそうだ。

取材に訪れたのは9月の下旬。まだ日中の気温は高く、汗ばむ日も多かった。圃場には約900本の不知火の樹が見渡す限り定植され、その枝には濃緑で若々しい不知火が結実していた。この圃場を管理するのは、中啓司さん。ピーク時こそ臨時スタッフを数名雇うことはあるというが、基本的にすべての作業を一人で行っている。

家業を継いだのは普通に会社員をしていた平成23年のこと。突然のことで心の準備もできていないままの就農だった。わからないなりに自身でインターネットで調べたり、栽培ごよみを見たりしながら作業を行う中さんを見て、周りの人は「全部樹を枯らしてしまうんじゃないか?」と心配していたそうだ。しかし、周囲の心配とは裏腹になんとか1年目から出荷にこじつけることができた。

最初は先代と同じようにJAを通して市場に出荷していたが、今は、ECサイト、産直、大手スーパーマーケット、ふるさと納税の返礼品など多岐にわたる。栽培品目は不知火一本でも、販路を分散することで販売経営のリスクヘッジを行っている。中さんが、日頃から心がけてるのは「良いものを適正価格」ということ。奥さんが書いた“でこちゃん”のシールと感謝の気持ちを添えて届けるのだという。不知火を通じて繋がる中さんの想いと、購入者の笑顔が目に浮かぶ。

 

Producer

 

中農園|中 啓司|徳島県吉野川市

   

     中農園の中啓司です。徳島県吉野川市川島町で不知火を栽培しています。平成15年から平成17年にかけて自宅隣接の畑に1000本の不知火を植樹し平成20年より出荷を開始しました。平成23年末から先代より引き継ぎ、日々生産に勤んでいます。

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