長崎県佐世保市

三藤康之

株式会社ダイサンセイ

養殖鯖

【自己紹介】
 株式会社ダイサンセイの、三藤康之といいます。
 私は、元々佐世保の巻き網船団の本船の船長をしていました。
17歳から船に乗り、船長だった父の跡を21歳の若さで継いだのです。叔父である漁労長と共に、長崎県沖を中心に様々な魚を獲っていました。
18年間の巻き網漁師生活のあと、35歳で陸に上がり、父が作った煮干製造会社に勤めました。そして、煮干製造に取り組む傍ら、その販売を専門に担う会社である「株式会社ダイサンセイ」を起こし、今に至っています。

【サバの養殖を始めたきっかけ】
 そんな私がサバの養殖を始めたのは、2018年の11月のことでした。
 煮干の製造販売に特化した事業では、主な原料となるカタクチイワシの漁獲高によって仕入れ値や売値の相場が毎年変動し、それだけでは不安定さが否めませんでした。もちろん煮干が主力事業であることは変わらず、高品質化と付加価値の創造に励み、現在も様々な新製品を市場に出しています。
 しかしもう一方で、さらに事業の安定的成長を図るため、様々な海の恵みをそのまま取り扱ってみたいという想いも強くなりました。とはいえ、今の事業を担う中でかつてのように漁に出るわけにはいきません。そこで、漁師であった技術と経験を活かして、魚を養殖することに決めました。
 魚種は、長崎県沖合で豊富に天然種苗(養殖して大きくするための稚魚)を確保できるアジ・サバ類にすることにしました。
 その中でもサバは、養殖技術や餌によって他に類を見ない味を実現することで、全く新しい魅力を多くの方々に感じていただけるのではないかと思って、サバの養殖に注力することに決めたのです。

【全国の仲間たちと共に】
サバの養殖を始めてから、全国でサバ養殖に取り組んでいる様々な仲間との出会いがありました。
サバは、養殖の歴史がとても浅く、どうしたら病気や環境ストレスから守られて健康で美味しい魚に育っていくかが、まだよくわかっていません。
そこで、全国のサバ養殖生産者はよく連絡を取り合っています。2019年11月には、水研機構主催で全国10ヶ所以上から生産者が集まり「全国サバ養殖フォーラム」が開催され、そこでパネリストとしてお話をさせていただきました。
そのような交流の中で特に、このポケットマルシェでも出品なさっている長崎県の「長崎ハーブ鯖」を創出された世代の方々から様々なご指導をいただき、同じく出品されている福井県の「小浜よっぱらいサバ」の方々とも強い連携と持たせていただきました。
そのように、サバを美味しくするために日々試行錯誤し、邁進していきました。

【私たちが育てる「長崎さば姫」の美味しさの理由】
 私たちダイサンセイは、様々な工夫の末に美味しさに自信を持てた養殖サバを、「長崎さば姫」と名付けました。長崎さば姫の美味しさには、次のような理由があります。

①日本海西部沿岸で獲れた優良な天然種苗
 サバは、まだ完全養殖の技術が確立しているとは言えません。鋭意取り組んでいらっしゃる生産地もありますが、海洋環境などに左右されるところが多く、どこででもできるというまでには達していないのが現状です。
 ですので、私たちを含めて多くのサバ養殖生産者は、天然種苗と言って、海で生まれ回遊している稚魚(主に当歳魚)が漁獲されたときにそれを導入し、育てています。
 長崎県では、日本海西部沿岸でとても強く健康な天然のサバの稚魚が漁獲されますので、元々とても良い種苗から育てることができます。
 また、対馬暖流系マサバであるため、身に移るタイプのアニサキス等寄生虫がいないことでも知られており、鮮魚でも安全に召し上がっていただくことができます。

②佐世保九十九島の美しく栄養豊かな海
 私たちダイサンセイが養殖を営むのは、長崎県佐世保市の九十九島という島の多い(実際には百以上の島があると言われている)湾です。
 そこでは、水を美しくする潮の流れがありつつも、荒波からは島々が守ってくれます。また、島々から陸地の栄養が海に流れ込み、牡蠣などの養殖にも適しているほど豊かな海となっています。
 美しくまた理想的に栄養が整った海なので、程よく身がしまり脂の乗ったサバが育つのです。

③餌のひみつ
 三つ目に、私たちはオリジナルな餌を開発しました。
養殖魚はよく身が緩んでいるとか、脂がしつこい(実は脂の質に違いはなく量が多いのです)と言われます。その中でも、本来自然界ではたくさん運動していて、さらに比較的小さな魚であるサバは、養殖だとすぐに脂を溜めてしまうと言われています。
もちろんサバに限らず程よく脂が乗った魚は美味しいものです。しかし、乗り過ぎてしまうと身割れの原因ともなり、味もしつこくなってしまいます。
 それを防いで健康に育てるためには、健康な食事をさせることが第一です。早く大きくしたいために餌を過剰に与えることはもってのほかですが、その中身も大事です。
早く大きくして出荷することを考えると、餌にも脂質を多く含ませるとよいのですが、私たちはそうはしません。専門家の指導を受けて、健全に筋肉をつけて成長させるためにタンパク質の割合を増やし、その吸収を助け様々な病気への抵抗力をつけるためのアミノ酸やビタミン類なども配合しました。
そして、与え過ぎを避けることで、大きくなる期間は倍以上かかりますが、ほどよく脂が乗りながらもあっさりしていて、旨味をはっきり味わっていただける最高のサバが仕上がったと確信しています。

【美しい九十九島の海を守りながら】
 私たちは、海から命をいただいて生活を営んでいます。
 しかし、今、その海の環境が各地でたいへんなことになっています。私たちダイサンセイのサバ養殖場でも、今年の夏の高い海水温のため、約3分の1が死んでしまいました。
 そういう中で、ひとりの人間、ひとつの会社ができることは、ごく限られています。
 でも、私には、地元に多くの仲間がいます。皆で力を合わせて、餌をやったり水揚げしたりをはじめ、生簀の配置を変えたり、網を替えたり、その網を洗ったりなど、一緒にたいへんな作業に励んでくれています。
 また、日本全国にも、サバ養殖に取り組む漁業者の仲間たちがいて、同じような現実に向き合って苦闘しています。
 その仲間たちと、想いと力を合わせていけば、きっと必ず、安全でおいしい魚を食べ続けられる未来が拓けると信じています。

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